サンプリングCD「ザ・レジェンド・オブ・チャイナ」　中国の民族音楽、伝統楽器などの音源集。DTM、DJ、クリエイター向けのサウンド販売はディスカバリーサウンド。

◊SOUND ON SOUND (August, 2004)
コメンテイター：Paul White

　この作品は、オーディオCDとAcid／Wav／Rex2に対応するCD-ROMの2枚組で構成され、環境音とチャイニーズオペラ（京劇）を断片的に収録している。加えて、東洋音楽のスタイルを連想させてくれるビブラートとピッチベンドを伴った、空想的な弦楽器フレーズも含まれる。

特筆すべきは、中国バイオリン（註釈：馬頭琴または高胡などを指している）のフレーズが収録されていることだ。これは子牛のヘッドと小型のボディの楽器であり — いわばドラムと2弦のバンジョーの合いの子みたいなもの — 弦はネックに張り付いているというより、宙に浮いた状態で「フレット」されている。その音色は、西洋の バイオリンと人の声をモーフィングさせたように聴こえ、非常に素晴らしい。続くフルートもまた、うっとりするほど強く心に染みる東洋の響きを放っている。

その他、鼻にかかったような管楽器、伝統的な太鼓類、シンバルヒットや銅鑼（どら）、ヴォーカルなどのセレクションが収められている。魅力的な話し方の女性ヴォイスも収録されているが、その話題に関しては見当もつかない。下品な内容ではないことを望もう！

　さて、ヴォーカルの後には弦楽器に戻ろう。今回のものは度を超えたピッチ・スライドを伴い、誰かがギターをチューニングするサウンドと似ているが、どういうわけかもっと音楽的だ。次に控えるのがバンジョー的なサウンドではあるが、わずかにバイ オリン寄りである。さらには素晴らしいゴングやベルを含んだ特別なパーカッション類が所狭しと入り乱れ、これらは瞑想音楽としても優秀な作品になることだろう！

その不思議な時間を経過すると、伝説的なストリート・ミュージックのように聴こえるもの、〈秘密の国〉の音楽のような怪しいバンジョーのアンサンブル演奏を付加したショット音とフレーズのセクションが現れる。全体的にこの作品はとくに多彩で豊富なライブラリーである上に、あなたがかつて触れたことのないリアルな宝石が、ここにギッシリと散りばめられているのだ。


◊Future Producers (March 13, 2004)
コメンテイター：Manuel Clement

　今夜、サンプラーの前に座ったら、どんなお楽しみが繰り広げられるかは知るよしもなかった。昨夜のうちに、《Sound Forge》でヒップホップのバスドラム・スネア・ハイハット類の素材を存分に用意したのだが、今夜はいつもとは違う何かが必要であることを感じていた。そして、ディスカバリーの「レジェンド・オブ・チャイナ」を試してみることが面白そうだという考えに至った。

　以前より、多くのアジアの楽器を楽曲制作に用いようとしたが、完成には至らなかった。どうもそれらを用いると気が乗らないのだ。しかし、無数ともいえるサウンドで構成された本作品は、Acid・Wav・Rex2を含むCD-ROMとオーディオCDの2枚組みとなっており、ユーザーの機材環境も考慮されている。“One Shot”と呼ばれるフレイズも豊富に含んでいる。打楽器、あらゆる中国楽器、そしてヴォーカルサウンドまでも網羅した豊富なマテリアルに私は期待感を持った。

　《Sound Forge》を使用しながら、手軽な“オートプレイ”機能を使用して本作品に収録された大量のサンプリング音源を試聴した。そしてこの作品には、息をのむほどの素晴らしい録音と研ぎ澄まされたクオリティが存在することに、瞬時にして気がついた。

この作品の大半は、フレーズとメロディーである。しかしこれらをそのまま使うのは私の制作方法ではなかった。私はたいてい打ち込みでメロディやドラムトラックを作る。しかしながら、この作品は今までの制作方法を変えさせられるくらいのクオリティの高さだった。私が望むフレーズに仕上げるための、元のフレーズの切り取りやフェードイン・アウト処理にはそれほど手間はかからなかった。

　私は、10種類のサウンドが入ったキットを作成した。3種類の大太鼓と様々な打楽器に加えて、弦楽器と管楽器の個性的な2つの単音を含むもの。つぎに、それらを愛用のサンプラーに送り込んで、5分後にはいくつかのバラエティに富んだトラックを完成させることができた。

［結論］
　一番言いたいことだが、かつて使ったことがない新しいサウンドを体験したことは、とても爽快な気分だった。この「レジェンド・オブ・チャイナ」こそ、その感覚を必要とするクリエイターにとって必須のサンプリングCDであり、コストパフォーマンスの面でも満足できる作品である。


◊ReasonFreaks (January 21, 2004)
コメンテイター：ButchManring

　ディスカバリーによるこの作品は、1999年に発売されたと同時に伝説の幕開けを告げ、今日までに信頼できるコンテンツにより大いなる好評を獲得している。レコーディングのクオリティと完全なるヴォリュームを誇る本作品は、リアルな中国サウンドの捜索者にとって無視できないものである。

　ディスカバリーは、この作品をリリース以来のありとあらゆる賞賛にすべて値する。私がこれを手にした時、多くの活用すべき要素を含んだ非常に素晴らしいコレクションであったため、どこから選び始めるか悩まされたほどだ。個人的な意見として、このサンプリングは映像作品や舞台用スコアに適していると感じるが、伝統音楽を捜しているクリエイターにとって、この作品に代わるものを見つけることは不可能だろう。ある文化の生涯をかくも素晴らしくスライスしたものを私は今まで聴いたことがない。

私は本作品にReasonFreaks賞を贈る。よくやった、ディスカバリー。