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スピリッツ・フロム・アイヌ\\\
前回に引き続きお送りする『Don Davisのエスニック・ライブラリー活用法』第2回目は、「アイヌが誇る、響きの全貌」。

北海道先住民族アイヌの伝統音源を収録した一枚『スピリッツ・フロム・アイヌ』。この作品に魅せられたというDon Davis氏は、アイヌ・サウンドが潜在的にもつ「美」や「調和」を感じながら、まだ今作を手にしていないユーザーへ向け、作品構成のより具体的な解説と共に、その全貌を鮮明に説いてくださいました。

第1回:三味線のベストな活用法
第2回:アイヌが誇る、響きの全貌
第3回:アルマ・フラメンコ〜上質な演奏から生み出された魅力

連載第2回:アイヌが誇る、響きの全貌
スピリッツ・フロム・アイヌ』は、演奏のバラエティーが広がる一枚。アイヌは本州本土から北海道へと侵入してきた大勢の和人により、文化や言葉の抑圧を受けるなどした北海道先住民族である。自分たちの伝統を生かし続けるため、いかなる困難をもろともせず戦い抜いてきたアイヌの人々の間には、明白な情熱を注ぎ込んだ豊かな音楽の伝統があった。

収録は、数々の賞を受賞したヴォーカリスト、兼、楽器奏者の故≪安東ウメ子≫氏の演奏によるもの。彼女はアイヌ文化保護運動の最前線に立つアイヌ愛国者でもある。彼女が演奏する「ムックリ(アイヌ口琴)」やアイヌの弦楽器「トンコリ(5線のチターのような楽器)」も、明らかに感情が注ぎ込まれた音色であり、手拍子をとりながら唄う彼女の歌声に関しても同様のことが言える。

今作は、ACIDやAbleton Liveに最適な325ファイルものWAVフォーマット、318ファイルのREX2フォーマット、そして3プログラムのKontaktフォーマットで構成されている。ムックリのサンプルは、ACIDやAbleton Live形式のルーピングに最適な4分の4拍子パターンの中に、1拍子のバリエーション豊かなサンプルが割付けられている。併せて、ワンショット・サンプル、豊富な3拍子サンプル、高音の1拍子パターンとワンショットを組み合わせたファイルも収められている。私の場合、ムックリの演奏はソロ音源としての活用ではなく、そのマルチ・サンプルをワールド・ミュージック・トラックのリズミカルなベース音源として使用してみたのだが、実に使いやすい価値あるものであった。

トンコリ・ループ音源の「TONKORI-01_LOOPS」フォルダには、穏やかな音色のルート・キーD、E、Fで構成されたメジャー、マイナー・コードそれぞれのアルペジオフレーズが収められている。「TONKORI-02_LOOPS」はDマイナー・キーに続き、EメジャーとEbメジャーで奏された綺麗な主要旋律から構成されており、美しく調和するファイル郡である。「TONKORI-03_LOOPS」はE・F・G・C・Eb・Gbメジャーに続き、最後にDマイナーのライン・セットで構成されるメジャー・キーの華麗な演奏からなる。「TONKORI-CHORDS」はメジャーとマイナー・コードの演奏で構成されている。これらのトンコリ・サンプルが、ムックリのサンプルとこれ程素晴らしく調和することに私は最も衝撃を受けた。ムックリのソロ・アンサンプルは西洋オリエントな耳を持つ私を当惑させるのだが、その「心の友」とでも言うべきトンコリ・サンプルと調和したことで、音色のコンビネーションが織り成すムックリの潜在性(素質)が明らかになった。

続く最後のフォルダは7〜180秒間の唄7曲で構成されている。これらの唄はアイヌ文化のなかで代々受け継がれてきた伝統ある唄。強く心に残るほどの美を兼ね備えている。私はアイヌの起源について深い知識がないので、次回ディスカバリーがスピリッツ・フロム・アイヌの再版を手掛ける際には、歌詞の対訳・翻訳と併せて唄についてのより詳しい情報を明記してほしい。そうすることで、この実に好奇心そそるヴォーカル・サンプルをより多くのユーザーが使いたいと望むはずだ。
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Don Davis
ドン・デイヴィス
米国カリフォルニア州アナハイム出身の作曲家。幼少の頃からピアノやトランペットを習い、10代から作曲を始める。オーケストラやジャズの作・編曲から、映画やTVドラマの音楽に至る実に幅広いフィールドで作曲を手掛けている。

映画音楽では、『MATRIX|マトリックス』シリーズ、『JURASSIC PARK3|ジュラシック・パーク3』、『BOUND|バウンド』をはじめとする、日本でもお馴染みの壮大なる楽曲制作を担当。近年ではホーム・スタジオにて音楽制作を続けている。

▼オフィシャル・サイト
http://dondavis.filmmusic.com/



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アイヌの楽器について

『アイヌ』マメ知識
安東ウメ子(1932〜2004)
アイヌ音楽伝承者。
アイヌの歌「ウポポ」とアイヌ口琴「ムックリ」の名人として知られる。幼少からアイヌ文化に親しみ、アイヌ語教室やウポポ保存会の中心的メンバーとして伝統文化の継承に力を注いだ。

83年、幕別町文化奨励賞を受賞。95年、CD『ムックリと安東ウメ子』(幕別町教育委員会)を発表し、2000年には十勝文化団体協議会文化賞受賞。2001年、ソロ作『イフンケ』(Chikar Studio/メタ・カンパニー)を発表し、「今生きる、開かれたアイヌ音楽」と各方面で話題を呼び、数々の雑誌やライター、ミュージシャンによってベスト・アルバムの一枚に選ばれた。オキをはじめとする若手のアーティストや異ジャンルのミュージシャンと交わる柔軟な感性を持った貴重な存在として、現代に生きたアーティストである。
アイヌ
北海道・樺太・千島列島に住む先住民族。アイヌとは、アイヌ語で「人間」を意味する。江戸時代から次第に和人の抑圧を受け、明治以後は同化政策の下、土地のみならず言語や文化を奪われ人口も激減した。現在はアイヌ語の復興など、アイヌ民族としての意識が高まる傾向もあり、先住民族としての権利要求もなされつつある。