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ディスカバリーのライブラリーを活用されているアーティスト、久保田麻琴さんに直撃インタビュー!2回に渡って連載いたします。

アメージング・タイランド\\
この度、音楽家・プロデューサーとして世界中を飛び回る久保田麻琴氏に、今年6月にリリースされた作品『HOTEL BANGKOK(ホテル・バンコク)』で活用したという「アメージング・タイランド」についてお話を伺いました。そこには、サンプリングCDに対する想いや楽曲制作に掛ける情熱など、彼の熱い想いが溢れています。

連載第一回目は、アメージング・タイランドの魅力と作品への活用法」。果たして彼は、制作を通じて「アメージング・タイランド」にどんな感想を持ったのでしょうか。


第一回目:久保田麻琴氏が体感した「アメージング・タイランド」
第二回目:HAPPY SAMPLING! - ハッピー・サンプリング

連載第一回:
久保田麻琴氏が体感した「アメージング・タイランド」
希少な音に感動を覚え、丁寧な編集に満足し、確立された
収録コンセプトから傑作を確信した「魅力作品」。

1. 今回「アメージング・タイランド」をご利用いただいた
久保田さんの作品名は?
今年6月に発売した『ホテル・バンコク』です。実は「アメージング・タイランド」の他、「ディス・イズ・ヴェトナム」と「ボン・ディア・ブラジル」も利用しました。

ヴェトナム音源はタイのそれと重なる部分が多く、「ディス・イズ・ヴェトナム」の音源も今回の作品に有用できる1枚でした。例えば、ヴェトナムには胡弓にあたる楽器があり、タイにも同様のものがあります。ヴェトナムはタイと通ずるものがあると思います。

アメージング・タイランド」のサンプルは、ヴォイスの他、実に数多くの民族楽器を多用しましたけど、それ以外にもバリ島はじめ、アジア各国で私がプライベートで現地収録した音源を多数ミックス。“アジア”というフィールドでは音楽が通ずるところが多い為、アジア各国の音源は非常に活用できたと思いますよ。

2. 「アメージング・タイランド」を使用した感想は?
今回手掛けたホテル・シリーズ「ホテル・バンコク」にとってまさに目的に合致したライブラリーで、私のためにカスタマイズされたとさえ言える1枚でした。

アメージング・タイランド」に収録の女性ヴォーカル(アップルさん)は、驚くべきことに私がバンコクで個人的に現地収録したヴォーカルと同一人物だったんです。このバンコク在住のシンガーは古典を唄える上、こちらの要望に対して十二分に応えることができる方。これほど歌唱力のある方はどこを探してもそう簡単に見つからないと思います。私はキャスティングに相当自信がありますが、ディスカバリーが同一の女性ヴォーカルを起用したことには驚きと感動を覚えましたね。

アメージング・タイランド」で補うことができなかった音源は、私がバンコクへ出向いた際に“本作の続編“といったかたちで音を収録しました。今回は、その時収録した音源をはじめとして、今まで自分で現地収録した音源と本作に収録されているヴォイス音源や民族楽器をミックスさせて曲を作りました。

ゴング、笛、木琴に相当するラナートなど、「アメージング・タイランド」の音源をフル活用しています。大変珍しい音源が収録されているし編集も非常にきれいなので、『ホテル・バンコク』はトータルで満足のいく、その名にふさわしい仕上りとなりました。

3. 「アメージング・タイランド」の魅力は?
大きく分けて二つの魅力があると思います。一つは録音がとてもきれいだということ。もう一つは制作の趣旨やコンセプトがしっかりしている、ということ。

先ほども述べましたが、同一の女性シンガーのヴォイスを収録しているだけでなく、実は楽器奏者も同一の方々がちらほら。その中でも若手奏者は古典界でトップクラスのミュージシャンで、ディスカバリーが本作に優秀なアーティストを起用したということは、コンセプトがしっかりしている、という証明になるでしょう。

私はいつもしっかりとリサーチした上でミュージシャンを起用していますけど、結果的に本作と同一のアーティストを起用したことは、「ディスカバリーが制作に対してシビアである」と評価に値する点だと思いますね。

4. 「アメージング・タイランド」はどんな音楽作品に
向いていると思いますか?
今回、私はタイの楽曲に利用しましたが、テクノやその他のジャンルにも多用できると思います。例えば、テクノ音楽にそれっぽい音だけ使用すると没個性的な作品に…。「アメージング・タイランド」は音程がしっかりしているので、響きや視点をリッチにするには民族系サンプルが効果的。ディスカバリーの民族音源は収録内容がしっかりしているので、どんなジャンルにもどんなタイミングでも活用できると思います。

人類がある一つの人種から派生してきたように、音楽も初めは一つだったと私は考えています。そこから各国の文化・伝統の影響を受けながら枝分かれしてきたのだと思います。そのようにして、地域ごとの音楽やジャンルなど、独自の音楽が築かれたのです。そう捉えれば、「アメージング・タイランド」という独特なサウンドはどんな音楽にも活用できるはず。

特定のジャンルや特定地域の音源のみを取り入れて作曲すると、いたって平凡でつまらない楽曲に陥る可能性がありますけど、そこにスパイス的に新たなカラーを付加させるため「アメージング・タイランド」のような異色のカラーを取り入れると、大変個性的なものに生まれ変わると思いますよ。
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アメージング・タイランド

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久保田麻琴(くぼたまこと)
音楽家、音楽プロデューサー。裸のラリーズ等のバンド活動を経て、1973年、ソロ・アルバムを発表し、久保田麻琴と夕焼け楽団を結成。細野晴臣のエキゾチック作品と平行して、「サンセット・ギャング」「ハワイ・チャムプルー」「デキシー・フィーバー」等の傑作を残す。80年代、サンセッツとして米国やヨーロッパをはじめ、オーストラリアやカナダ、さらにはジャマイカに至る世界各国にてライブを行い好評を博す。90年代は東南アジアのポップスに深く関わり、プロデューサーとして活躍し続けている。

『HOTEL BANGKOK』
HOTEL BANGKOK
久保田麻琴氏が率いるBlue Asiaによる、“架空の観光ホテルシリーズ”からの一枚。本作は、2005年11月付けのヨーロッパWorld Music Charts Europeで9位にランクイン!さらに、2006年2月付けのBBS London — Sound of the Worldでは『Record of the Month|今月の一枚』に選ばれました。
ご購入は、Amazon.co.jpまで

※World Music Charts Europeでは、毎月ヨーロッパ23ヶ国のラジオ局で選ばれたワールドミュージック・プレイリストのTOP10から総合順位を決定する、ヨーロッパのヒット・チャートを発表しています。
久保田麻琴の最新情報
06年春、久保田氏初となる著書、『世界の音を訪ねる−音の錬金術師の旅日記』(付録CD付)を岩波新書より発表予定。著書と同タイミングで、久保田氏がプローデュースしたアジアのミュージシャンたちによるワールド・ミュージック凝縮の一枚、『アルケミスト・ダイアリー』と、BLUE ASIA第7弾となる『hotel MOROCCO』も2006年4月26日に同時発売決定!



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